
中国やロシア、エジプトなど、世界では多くの国で国策としてインターネットの規制や情報規制が行われています。
なかでもとくに強力なインターネットの検問システムといわれるのが、中国の『グレートファイアウォール(GFW)』です。日本では馴染みがあまりないシステムですが、グレートファイアウォールはネット界では世界最高峰の検閲の壁といわれるほど。
そこで今回は、グレートファイアウォールの検閲の仕組みやブロックの対象とされているサイト、中国の代替サービスなどについてわかりやすくまとめていきます。
もくじ
グレートファイアウォールの仕組み
1993年から中国政府がすすめている『金字工程』という国家戦略の1つである、グレートファイアウォール。
国内外のインターネットサイト全てを対象としたものではなく、侵入検知システムとして特定のサイトにアクセスするたびに検査して対処するというものです。
中国国内からウェブサイトにアクセスして画面が表示されるまでの間に、以下の4つのチェックを行って監視しています。
DNSを制御
DNSの段階でのチェックです。通常インターネット上のサイトにみるためにURLを入力すると、DNSが対象のIPアドレスを問い合わせて接続します。
しかし、閲覧したいサイトがブロックする対象のサイトである場合、DNSはIPアドレスを返せません。したがって、そのサイトにユーザーはアクセスできなくなります。
接続フェーズの監視
DNSのチェックを抜けた場合でも、接続先のIPアドレスが閲覧禁止のIPアドレスであれば接続は中断されてしまいます。
特定キーワードでのブロック
URLがブラックリストの対象外であった場合でも、アクセス先のURLに政治的な言葉や、共産党幹部を批判するような言語が入っている場合は全てブロックの対象となります。
接続対象サイトのページをスキャン
上記3つのチェックをクリアした場合でも、サイトアクセス時に再度監視システムによってページごとの内容をチェックします。このチェックで政府にとって害のないサイトと認められて初めて、ウェブサイトの閲覧が可能になります。
ブロックの対象とされているサイト
政治的に敏感な問題や報道系、政治的啓発系、宗教系やポルノサイトが中国のネット警察によって日々見張られています。もちろん、海外の主なSNSやCloudなどのサービスも中国国内からは通信が遮断され、ほぼ閲覧ができません。
具体的なブラックリスト(閲覧禁止)対象サイトは、Facebook・YouTube・ニコニコ動画・FC2・LINE・Twitter・Instagram・Evernote・Dropbox・Tumblr・Pokémon Go・Google各種のサービスなど。また、一部の海外ブログや慈善団体や企業のHPなどについても禁止されています。
海外のSNS代替サービスとして、中国ではどんな影響
FacebookやLINEなどが利用できない中国国民は、どんなサービスを利用しているのでしょうか。中国では、たとえば『百度(バイドゥ)』とよばれる検索エンジンや、『微信(ウェイシン)』と呼ばれるLINEと似たメッセンジャーアプリを利用しています。
まとめ
中国国民は現在、グレートファイアウォールによって言論や思想の自由がありません。しかし、これほど熱心に情報検閲と規制をすすめる中国政府の裏を返せば、市民が熱狂して中国政府に歯向かうことを極端に恐れているという証拠とも考えられます。
一部の情報では、国民の電子メールや電話の傍受からの個人の特定がなされているともいわれています。
中国政府による情報規制は、今後ますます強化されていくのでしょう。