
北朝鮮が2019年5月4日、2019年5月9日に日本海上に向けて複数の『飛翔体』を発射しました。
アメリカや日本は「これらの飛翔体は『短距離弾道ミサイル』である」と断定、北朝鮮の明白な国連安全保障理事会の決議違反として、今後の米朝協議に影響が及ぶ可能性も示唆されています。
しかし、そもそもなぜ北朝鮮は、国際的なトラブルに発展しかねないリスクを負ってまで発射実験をおこなうのでしょうか?
今回は、北朝鮮がミサイル発射実験を欠かさない理由や、ミサイル開発の歴史についてわかりやすくまとめます。
もくじ
北朝鮮のミサイル発射に米韓はスルー
各国は、第1回目の発射時は『飛翔体』と報道していました。
しかし、1週間もたたないうちに2回目を発射。
現時点でアメリカ国防省は弾道ミサイルと断定、日本政府も短距離弾道ミサイルであるとの分析結果を発表しています。
しかし、現時点で米韓はこの事態に対して静観しており、ミサイル発射への批判のトーンを抑え気味であるのが現状です。
その大きな理由は、「今後も米朝協議を続けたいから」です。
ここで国連安全保障理事会の決議違反と大きく批判してしまうと、戦争の危機が高まる可能性もありますからね。
その事態を避けるため、対談・協議を続けたいアメリカや日本、韓国など各国がミサイル発射への批判をおさえ、事を荒立てないようにしているのです。
北朝鮮がミサイル開発を欠かさない理由
北朝鮮がミサイル発射を繰り返す理由はいくつかありますが、そのなかでも最も大きな理由は、休戦状態の朝鮮戦争です。
休戦状態の朝鮮戦争
1950年に起きた朝鮮戦争とは、韓国と北朝鮮の戦った朝鮮戦争ですが、韓国のバックアップに回ったのはアメリカやイギリス、北朝鮮にはソ連や中国が回っていました。
そのため、『アメリカVSソ連・中国』のいわゆる代理戦争であったともいわれています。
そしてこの戦争は、いまも一時休戦状態のまま。
北朝鮮がアメリカに対抗するためには、核兵器やミサイル開発が欠かせないのです。
北朝鮮がミサイル開発・発射を欠かさない理由は『お金』
ほかにも、ミサイル開発・発射を欠かさない理由があります。
・国際社会からの経済制裁の緩和
・周辺諸国などに武器を売る
また、ミサイル開発・発射を繰り返すことで、『相手国や国際社会から自国に有利な利益を引きだす』という北朝鮮の狙いがあります。
あとは、『お金』の問題です。
年々技術が向上している北朝鮮のミサイルを周辺諸国やテロ組織へ売れば、財源を確保できますからね。
北朝鮮が開発したミサイルを自身で発射すれば、各国への威嚇になるだけでなく、なにも言わなくても各国が威力を分析するため、武器販売のPRになるので、北朝鮮にとって一石二鳥なんです。
北朝鮮の主なミサイル開発の歴史
さまざまな種類のミサイルを保持する北朝鮮の開発の歴史は、近距離ロケット砲が1960年代から、短距離ミサイルは1976年にエジプトにて旧ソ連製の『スカッド』を手に入れたことが始まりといわれています。
1980年代になると準中距離ミサイルの開発も開始。
なかでも有名な『ノドン』の発射実験は2006年から始めておよそ4回実施されています。
現在では『ムスダン』や『テポドン1』、『テポドン2』など『ノドン』の数倍の射程距離をもっているといわれるミサイルや、大陸弾道ミサイルの開発もすすめられています。
なぜ北朝鮮はミサイル発射実験を続けるのか?|金正恩の本当の目的に迫る|まとめ
対話路線を続けたいアメリカのトランプ大統領は、現在も国連安全保障理事会での追及は避けています。
また、日本は予定通り無条件対話をおこなう方針であり、韓国はあくまでも米朝の仲介役にこだわって食糧支援を検討しています。
一方で、「今後も防衛能力の増強を目指していく」という北朝鮮政府の方針を朝鮮中央通信(KCNA)が報道したことで、大陸弾道ミサイルの発射実験も時間の問題ではないかとの声もあがっています。
今後、国際社会は北朝鮮にさらなる経済制裁を加えるのか、それとも別の対応を選ぶのか、各国の動きに注視しておきたいですね。