
前社長と現社長の対立や混乱も伴って、4期連続で赤字幅が増大する大塚家具。
黒字回復宣言が空回り続ける大塚久美子社長の手腕に、現在多くのマイナスの声が寄せられています。
なぜ、ここまで大塚家具の業績は悪化したのでしょうか。
そこで今回は、大塚家具がここまで連続赤字に陥ったきっかけともいえる「お家騒動」の経緯についてわかりやすく解説します。
もくじ
過去最大!4期連続の最終赤字を発表した大塚家具
ヤマダ電機傘下で経営再建中の大塚家具の2020年4月期は、2月の業績予想を超え、過去最大の77億円の赤字でした。
これ程までに予想を上回った赤字を叩き出した大きな理由は、やはり言わずもがなですが新型コロナウイルスの感染拡大によると考えられます。
一部の店舗が時短営業などをおこなったことで、業績がさらに悪化したのでしょう。
なお、大塚家具は2016年12月期から赤字に陥っており、これで4期連続。合計は200億円を超えています。
それだけに、大塚久美子社長の週案に対し疑問の声が後を絶たず、「疫病神ではないか」「業界そのものが時代遅れだ」といった厳しい意見も寄せられています。
4期連続赤字の大塚家具ですが、2021年4月期も久美子氏が社長を続投する方向で準備が進めているようです。
大塚家具経営悪化の背景にある「お家騒動」の詳細
ここまで大塚家具の経営が悪化した背景には、「お家騒動」とも呼ばれる親子ケンカによって同社の印象が悪化したことが大きく関係しています。
その対立とは、創業者である大塚勝久氏と、その娘の大塚久美子氏です。
勝久氏は、どんな流れになろうとも大塚家具の歴史を支えた会員制かつ高級家具路線を睨んでいました。
対して、久美子氏はニトリや IKEA のような低価格化に進む家具業界と歩調を合わせるべきとする考えでした。
この両者の経営方針の相違から発展した親子ケンカは、結局ここまで大塚家具にとって何も良いことなし。
世間から注目を集めた一方、会社自体のイメージダウンにつながり、顧客からも見放されてしまったのです。
大塚家具お家騒動の経緯
それでは、なぜここまで対立が深まったのでしょうか。
結論から言えば、父である初代社長が一代で今まで築いてきたビジネスモデルを娘が強引に変えたからです。
創業者の勝久氏は、会員制の高級家具販売をおこなってきました。
会員の顧客をファイリングし、入店のときにそのファイルを持った店員と顧客が一緒に店内を回るというシステムです。
顧客との関係性を強くしながら高級家具を販売するというビジネスモデルで業績を拡大してきたのです。
ですが、2000年代に入り、ニトリなど低価格で必要な機能が備わった家具を求める人が増えていきます。
その結果、大塚家具の業績は低迷。
そこで2009年に社長に就任した久美子氏は、従来の「会員制」という販売スタイルを変え、気軽に店に入れる「カジュアル路線」に方向転換しました。
この結果、一時的に大塚家具の業績は回復したものの、経営方針の変更に不満をもったのが勝久氏です。
勝久氏は久美子氏を社長から解任し、2014年に自らが会長兼社長に復帰。
久美子氏が展開してきたカジュアル路線の店舗はすべて閉鎖し、久美子氏側の幹部も次々に降格や左遷、クビにしていきました。
このことに娘がさらに反発し、相続者一族による経営対立というお家騒動に発展していったのです。
その後、2015年の株主総会で委任状争奪戦を制し、久美子氏が再び社長に就任。
父と娘の仁義なき親子ケンカは、ここで終止符が打たれたのです。
ただ、これにより勝久氏を慕っていた多くの幹部や社員が大量に大塚家具から移籍していくことに。
結果的に大塚家具の経営力や組織力、集客力までもがダウンしてしまいました。
大塚家具の今後|ヤマダ電機傘下で経営再建なるか
現在の大塚家具は、ヤマダ電機傘下で経営再建を目指しています。
6月19日には「暮らしまるごと」をテーマに、家電と家具をコーデディネートしたコラボフロアを全国7店舗に設置。
たとえば、台所の冷蔵庫や電子レンジ、リビングならテレビやエアコンなど、暮らしのシーンに合わせた家具やインテリア、家電を展示販売しています。
ただ、本家の家具販売の不振は未だ深刻な状況が続いており、先行きは不透明のままです。
大塚家具の赤字(業績悪化)は結局、無能な娘のせいなのか|ニュースで取り沙汰されている「お家騒動」をわかりやすく解説|まとめ
2020年6月に深刻な販売不振が続く大塚家具は代表取締役会長にヤマダ電機の三嶋社長を、取締役にもヤマダから3人入れるなど、 経営陣を大幅に刷新しました。
新体制での立て直しを図る一方、この刷新はもはや大塚家具が単独で存続する事は難しいということの表れなのでしょう。
大塚家具がヤマダ家具になる日も近いのかもしれません。