白血病治療薬「キムリア」や脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」など、1回あたり数千万円、あるいは数億円かかるような高額薬が相次いでいますね。

昨今、薬の高額化に拍車が掛かっている状況の中、アミノ酸を自在に組み合わせるといった独自の手法によって「安くてよく効く医薬品」の候補を創出するペプチドリーム社が急成長しています。同社んぼ技術は創薬の常識を一変させる可能性を持っていることから業界全体の注目の的であり、世界の製薬会社も提携を求めるほどです。

そんなペプチドリームについて、解説していきましょう。

 

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なぜ、ペプチドリーム社は注目されるのか。

医薬品の価格高騰に歯止めをかけるほどの潜在力を、同社の特殊ペプチドは持っているためです。

2014年に登場したがん免疫治療薬の「オプジーボ」は最初、100ミリグラムで73万円という非常に単価が高かったのです。
年間で5万人に使うとすると、費用は総額で1兆7500億円になるという試算もあり、薬価制度を見直すきっかけになりました。

一方、白血病治療薬である「キムリア」の薬価は、1回あたりの投与で3349万円。このような高額薬が増えてしまうと、医療財政を圧迫する可能性があります。

新薬の材料となる候補物質を発見しとしても、治験など人への臨床試験に至るまで10年以上かかってしまうこともあり、そういった開発コストを早急に回収するには、やはり薬の価格は高くせざるを得ないのです。

近年、ペプチドリームが注目される理由はまさにこれです。
「当社の技術を使えば、安くてよく効く薬剤を素早く製造でき、抗体薬の生産コストが10分の1以下になる」と、社長のリード・パトリック氏は話す。社名の通り、ペプチドには「夢」があるというわけですね。

ペプチドリームの革新的な技術

通常のペプチドは経口摂取するとそのまま消化されてしまうのですが、同社が特許を持っている特殊な物質を使用すると体の中で分解されにくくなり、また、病気の原因になるタンパク質のみにくっつく『特殊ペプチド』を製造できるというのです。

医薬品は化学合成でつくる「低分子」から出発しましたが、現在の主流はバイオ技術などを使う抗体医薬品などの「高分子」です。
だがしかし、ペプチドを使った医薬品は中間にあたる分子量を持っているため「中分子」と呼ばれており、第3の創薬手法として注目を集めているのです。

特に注目される理由は高分子と低分子の「いいとこ取り」ができるからです。
がん細胞などの標的を狙い撃ちできる高分子並みの薬効を持っていながらも、化学合成によって安価に大量生産が可能になります。中でもペプチド医薬品は汎用性が非常に高い事や、それにも関わらずコストが低減できる、と期待されているのだそうです。

今後は中分子医薬品が抗体医薬などの高分子領域を置き換えていくことになりそうで、そうなると数十兆円の巨大市場に成長することが確実視されています。

加えて、ペプチドリームは新薬候補物質の材料開発に関しても非常に優位性があり、製薬会社大手だと通常1~2年かかる作業が、ペプチドリームのシステムを使うことによって1~4カ月で可能になるという。

従来の手法では発見できなかった化合物を探すことができ、創薬期間も大幅に短縮可能になるからこそ、世界の製薬大手が殺到しているのだそうです。

 

ビジネスモデル

ペプチドリームはビジネスモデルも独特です。
製薬企業に対して材料を提供し、研究開発のステージが進むごとに成果報酬を受け取る、というもの。技術ライセンスの提供などにより安定的に収益を稼ぐことができるビジネスモデルを生み出し、18年6月期まで8期連続で最終黒字を計上しているのです。

19年6月期の売上高は72億円以上となるようで、最高益を更新する見込みとのこと。国内のバイオベンチャーの多くが赤字に苦しんでいる中、異例の存在になっています。

今後、製造受託施設の拡充や大手製薬会社との共同生産体制を強固にしていくことで、より一層の成長が見込まれています。

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