
環境問題に関係しているとして、ストローの是非が全世界で問われています。
すでにアメリカのコーヒーチェーン『スターバックス』では2020年までに全店舗でのプラスチック製ストローの提供を廃止するようです。
いったいなぜ、ここまでストローに反対する動きが激しくなっているのでしょうか。
今回は世界で悪者風潮が強まるストローについて、環境への影響や問題、今後の代替品に至るまでわかりやすく解説していきます。
ストローが悪いのは何故?
スターバックスやマクドナルドがこぞって、プラスチック製のストローの提供を廃止する動きをみせています。
このニュースを見た人は「え?ストロー?」と思った人も多いでしょう。なぜこれほど廃止の動きが強くなってきたのでしょうか?
実は、想像以上にプラスチック製品は海に不法投棄され、環境問題に発展しているのです。
海洋汚染への影響
近年、大きな問題になっているのが海に投棄されているプラスチック製のごみです。プラスチック製のごみは年間約1000万トンも海に投棄されており、世界で大きな環境問題となっています。
ストローに限らず、プラスチック製のごみが海に捨てられると、太陽の紫外線や波の影響で細かくなり、やがてマイクロレベルの粒子にまで細かく分解されます。もちろん、マイクロレベルの粒子にまでなると目には見えません。
しかし、その過程のなかで餌のプランクトンと一緒に魚が飲み込んでしまうことも。
たとえば、イギリス近海の魚や、日本で獲れたムール貝から小さいプラスチック製の破片が見つかっています。これらを食べた人間が病気などを引き起こす可能性があるため、プラスチック製のごみによる環境問題が危惧されているのです。
『海洋汚染=プラスチック製のストロー』なのか?
海洋汚染の元凶になっているのはプラスチック製のごみです。しかし、不思議なことに悪者として扱われているのはストローのみ、プラスチック製のフタや容器には廃止の声が上がっていません。
一説によると、ペットボトル容器を問題視すると影響力の大きい超大企業を敵に回すことになるため、零細企業がつくるストローを相手に狙ったともいわれています。
また、真意の程は定かではありませんが、海洋汚染に力を入れているとして企業のイメージアップを図るために費用対高価の高いストローを悪者に仕立て上げたのではないかという声も上がっています。
日本の状況
日本では、まだまだプラスチック製ストローの使用廃止の動きは浸透していません。その理由は、処理方法の違いが関係しているといわれています。
プラスチック製のストローを埋め立てて処理するケースが多い欧米諸国。対して、焼却炉の技術が高い日本では、大半はダイオキシンを出さずに焼却処理されています。
そのため、日本では、海辺に大量に埋めたことによる環境・海洋汚染のケースは少ないと考えられているのです。
一方で、日本近海ではプラスチック製のごみの密度は高くなっていて、その多くは他国からのごみが流れてきているのです。
廃棄物管理の整備が不十分である中国やフィリピン、インドネシアなどアジア諸国からのごみが、粉々になりながら日本近海へ流れてきている、というわけです。
代替品は?
プラスチック製のストローを使わないとしたスターバックスは、現在アメリカの多くの店舗で飲み口付きの新しいフタを採用しています。
ほかにも代替品として、藁ベースにしたものや、シリコン製、ステンレス製のストローが登場しています。さらに、海藻をベースに、使用後は食べられるエコなストローも発売されています。
まとめ
『脱プラスチック製のストロー』の動きは、今後日本でも徐々に加速していくでしょう。しかし、プラスチック製ごみの処理や分別についての議論を進めずに、特定のプラスチック製品であるストローのみを海洋汚染の元凶とするのは少し早合点であるようにも感じます。
プラスチック製のストローだけを悪者にしても、環境問題の解決にはおそらくつながらないでしょう。
海洋汚染をすすませないためにも、まずは「海へポイ捨てをしない」という当たり前のことを世界共通のマナーとして守っていきたいですね。