
リーマンショックという世界を巻き込んだ大きな事件を、覚えているでしょうか。
ある住宅ローンを証券化した結果、巨額の損失をかかえて大手投資会社リーマン・ブラザーズが破綻した事件。この事件のきっかけをつくったのが『サブプライムローン問題』です。
そこで今回は、サブプライムローン問題が起きた経緯や日本での影響についてわかりやすく解説していきたいと思います。
サブプライムローン問題とは
サブプライムローンとは、公務員など社会的に信用の高い人向けのプライムローンと違って、社会的に信用の低い人を対象にしたアメリカの住宅ローン商品のことです。
・低所得の労働者
・移民
・過去1年で借金を2回以上30日間延滞をした人
など、上記のような返済能力が低いとみなされ、通常の住宅ローンでは通らないような人を対象としていました。
サブプライムローン問題は、不動産バブルとそれにあやかったサブプライムローン、および、その証券化が引き起こした多額の損失などアメリカの住宅ローン崩壊を背景に、2007年から2008年にかけて表面化した一連の金融危機のことをいいます。
背景
どんな流れでサブプライムローン問題が起きたのか、その経緯を簡単にみていきましょう。
背景|不動産バブル
2000年代、アメリカでは過去の日本に似た『不動産バブル』が生まれていました。家や土地の需要が増加し、需要と供給の関係によって年々、住宅価格が上がっていたのです。
きっかけは、アメリカの低金利政策。低金利が続いたことで、お金の使い道を探す人々が増え、彼らのお金が大量に不動産市場に流入してきたことでバブルが生まれたといわれています。
背景|サブプライムローンの誕生
不動産バブルのなか、とあるローン商品が注目を集めます。借入審査に通らないような、社会的に信用の低い人に向けたローン、これが『サブプライムローン』です。
不動産価格が上がり続けていたため、サブプライムローンを勧める銀行側も「新築の家を担保にして、いざとなれば売却すれば大丈夫」という認識でした。
さらに、サブプライムローンを証券化し、金融商品として世界中の投資家に販売、広がっていきます。
背景|不動産バブルの崩壊
しかし、不動産バブルは長く続きませんでした。次第に、住宅の供給が飽和状態になっていき、家を買うよりも、家を手放す人や売ってもローンが残ってしまう低所得者層が増加していったのです。
その影響で不動産が売れなくなり、不動産価格もみるみる下落。
こうした流れから、リスクを感じた投資家はサブプライムローン関連の商品を売りに転じていきました。こうして、不動産バブルは終わりに向かっていったのです。
背景|証券会社の破綻
こうして、あっという間に信用を失ったサブプライムローンによって、多くの投資家たちが多額の損失を抱えることとなります。
とくに、率先して証券化した『リーマン・ブラザーズ』は、不動産バブルの終焉とともに約6000億ドル以上もの損失を抱えたまま、倒産。
これが、あの『リーマンショック』です。
リーマン・ブラザーズがばらまいた『債権』や『金融商品』は、バブル崩壊とともに一瞬でただの紙くずと化してしまったのです。
結果的に、多くの投資家たちが多額な損失を抱えただけでなく、アメリカ経済自体の信用やドルへの信用のダウンにつながっていきました。
リーマンショック後の日本への影響
サブプライムに関する商品を買っていたのは、日本のみずほ銀行グループや三菱UFJ銀行グループなどの大手バンクも含まれています。
損失額は、大手6社でおよそ9000億円に以上にもなったそうです。さらに、リーマンショック後、世界の消費率は落ち込み、金融不安によって株価が下落しただけでなく、為替も円高ドル安に移動。
そのため、アメリカ市場に依存している輸出関連の企業へのダメージは大きく、リストラや派遣切りなど社会問題にまで発展しました。
まとめ
アメリカのいち出来事に思われますが、経済は世界中が絡み合っているため、いかに遠い国の出来事でも、日本に住む私たちの暮らしに影響を与える可能性は大いにあります。
歴史は繰り返されるものです。
過去に世界で起きた金融危機を学び、いつどこで起こるかわからないバブル崩壊に備えて金融商品は分散して投資するなど常にリスク回避を考えておきましょう。