ホワイト国指定から韓国を除外することについて、8月2日にも決定する方針であると日本政府が発表しました。
一部では徴用工問題への報復と言われていますが、実は今回の措置は、日本が国際的な責務を全うするためには必要なんです。
なぜ、『ホワイト国指定からの除外』が国際的な責務につながるのでしょうか。
今回は、韓国への輸出規制(管理)の内容や除外した理由、世耕弘成大臣のTwitter内容についてわかりやすく解説します。
韓国への輸出規制(管理)措置
7月4日、日本政府は韓国向けの輸出に対して、
・フッ素化水素(エッチングガス)
・フッ化ポリイミド
・レジスト
これらの、軍事転用もできる3品目を包括輸出許可の対象から外し、個別審査を導入しました。
これまでなら1度申請すれば最大3年間は申請なくとも輸出可能でしたが、7月4日からは案件ごとに許可を申請して審査する方式に切り替えたのです。
8月2日には、日本政府はホワイト国指定から韓国を除外することを閣議決定する方針です。
ホワイト国指定からの除外
『ホワイト国』とは、大量破壊兵器等に関する条約に加盟していて、世界の平和を脅かす貨物を流出させないことを徹底している国に与える日本特有の枠組みで、2019年7月時点で指定されているのはアメリカ、カナダ、EU諸国など27カ国。
2004年に指定した韓国は、アジアで唯一のホワイト国です。
メリットは、本来輸出の契約ごとに個別許可が必要な品目も、ホワイト国なら優遇され、包括的に輸出・取引を許可されるという点です。
もちろん除外された場合は個別に許可をとらなければならず、対象は食品と木材を除く全品目となる可能性も懸念されています。
ただ、今回の措置は、ASEANやインドなどと同じように個別に輸出許可が必要になるだけであり、貿易を禁止する措置ではありません。
韓国を除外する理由
そもそも、なぜ日本は韓国の除外措置を決めたのでしょうか。
韓国や一部の日本メディアは日本の対応を、『徴用工問題への報復措置だ』と反発しているようですが、これは正確な理由ではありません。
日本側の今回の措置は、レジストなど上記3品目についての『不適切な事案』などで韓国のへの信頼が著しく損なわれたからです。
「第三国への横流しではない」と韓国産業通商資源省は説明していますが、仮に上記3品目が第三国へ流出していれば、日本が輸出国としての管理義務を果たしていないと叩かれる可能性もあります。
だからこそ、不適切事案が発生した時点で、国際的上の貿易管理義務を負う日本が運用を見直さないことは許されないのです。
もちろん、安全保障の輸出管理はWTOの例外扱いになっているため、今回の日本の措置は違反ではありません。
経済産業省の世耕弘成大臣のTwitter
経済産業省の世耕氏がWTOをめぐる日本の偏向報道に、反論ツイートを乗せたことで話題となりました。
実際、WTO一般理事会で韓国の主張に対して、他国は無反応だったようです。
にもかかわらず、一部の日韓メディアがさも韓国に分があるような、実態と異なる報道をしていたため、世耕氏がTwitterで3回にわたって反論したのです。
昨日のWTO一般理事会では、輸出管理の運用見直しについて、日本の立場をしっかりと説明しました。出席者からヒアリングした現場の雰囲気を報告します。(続く)
— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 25, 2019
(続き①)
会議の時、韓国は、日韓が対話で解決すること(日本は協議の対象でないとの立場)に反対する国は 起立して欲しいと求めましたが、どの国も起立しませんでした。一部報道では、韓国はこの沈黙をもって発言への支持を得たとみなしたと述べたと報じられています。(続く)— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 25, 2019
(続き②)
事実は、議長が他出席者に発言機会を与えたが誰も発言しなかったので、一般理事会で本件へ同意が得らなかったということ。
また議長は勝手に採決を求めるような韓国発言を制止しようとし、最後は議長が残りの重要な議題を議論する必要があることを理由に本件議題を打切りました。(続く)— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 25, 2019
(続き③)
そもそも一般理事会は、多国間の自由貿易について議論を行う場であり、WTO以外の国際的枠組の下で行われている輸出管理措置を議論する場ではありません。
なお会合終了後、他国の出席者からは、自国の立場を冷静に主張した日本の対応を評価するという声が少なくありませんでした。(以上)— 世耕弘成 Hiroshige SEKO (@SekoHiroshige) July 25, 2019
再会合要請を日本は拒否
7月12日に東京都内で開かれた日韓の事務レベルの会合では「安全保障上の国内運用の見直しであり、WTO違反にあたらない」と主張する日本に対し、終始、規制強化の撤回は求めず、事実関係の確認をしていた韓国。
しかし会合後、韓国は、「措置の撤回を求めた」など議事録と異なる内容を報道。
さらに双方で取り決めた範囲を超える内容を一方的に公表したため、日本は在京韓国大使館を通じて韓国に抗議しました。
結果、会合後に双方が対立するという展開となり、韓国からの再会合の要請に対して日本は『信頼関係が崩れた』として拒否しています。
まとめ
ホワイト国指定から韓国を除外するということは、言い方を変えると、「2004年以前の手続きに戻し、他のアジア各国と同じ扱いにしただけ」です。
つまり、アメリカのトランプ氏が感情のままに、中国に対しておこなっている事実上の禁輸措置とは本質的に話が異なります。
輸出国として、国際的な管理義務を果たすためにおこなった今回の日本政府の判断について、今後も冷静に見極めていく必要があるでしょう。